『経営に活きる禅の教え』
㈱おぼうさんどっとこむ 代表取締役 林 数馬様(東京iシティロータリークラブ会員)
みなさんにはご無沙汰しております。私が今所属している東京iシティークラブは若いクラブですが、東京臨海ロータリークラブとはまた違った魅力があり、その発展に勤しんでおります。
さて今日は「禅」と「経営」の共通点とその考えの活かし方についてお話しさせていただきます。
まず「示」は自分の考えを人に見せること、「単」は一つ・複雑でない・広くて大きい・尽くす・誠などの意味があり、それらが合わさり意味を成す文字です。仏教用語では特に心を安定・統一させ宗教的叡智に達するための修行法であり、その特性として達磨大師の四聖句(「不立文字」「教外別伝」「直指人心」「見性成仏」)にもあらわされるように、文字や言葉でお伝えするのは非常に難しくなっています。以上より文字の成り立ちやその意味の解説から、「禅」とは本当の自分に気づき、自然や宇宙との繋がりを体感する一つの法といえると思います。
さてその禅を経営に生きる修養法があります。それが「調身」「調息」「調心」です。その字のごとく、身体の状態、呼吸の状態、心の状態を調えることを教えるのですが、これが会社や組織の経営や運営に活かすことができる考え方だと思います。
会社や組織にとっての「身」とは、社員・スタッフ・役員、社長などの「人」です。その健康状態や能力、相互の協力や連絡などが正しく調えることです。
会社や組織にとっての「息」とは、「お金」です。呼吸を止めたら待つのは「死」です。生きるためにさせていただいているのが呼吸です。「出入り」「呼吸」というように、出る・呼気が先、入る・吸うは後です。
その吐き方により苦しくなりますが、そのあとには必ず入ってきます。生きる上で意識しない息のように、乱れることなく出入りできるようになります。会社や組織は人様のお金を預かることで、余計な利益や旨みを目指すものではない、でも必要最低限を行い続けても苦しくなる。よって適正、最適を考え、お金を回すのです。利益はそのあとの「ご利益」として帰ってきます。
会社や組織の「心」とは向かうべき目的、理念です。その役割をしっかり認識し、社会の一員としの責任を担い、社会に貢献していかなければなりません。
この三位一体こそ、健全な経営であると言えます。
さて椅子に座ったままでも禅はできます。背筋まっすぐに座り、肩の力を抜き、両手は膝のうえ、目を軽く閉じ情報を遮断します。
口から息をすべて8秒で出し切り、鼻から4秒で吸い込み、4秒止め、また繰り返します。
この間に色々なことを考えると思います。無駄?意味がある?楽しい?きつい?早く終われ?面倒?アイディアが浮かぶ?それらを含め感じているのはご自身です。その先に何が見えてくるのか?手に入るのか?今一度自分の心に問いかけるいい時間になると思いますので、ぜひご自身の生活に取り入れてみてください。
経営が継栄に、そしてさらには敬盈に繋がっていることに気づきます。様々な存在に感謝が湧いてきます。自分の命は脈々と受け継がれたもの。何を受け継ぎ、何を倣い、何を倣わないかは自分の命を再創造する機会をくれます。
そのすべては「愛」へのお陰様と感謝に尽きるのです。
最後に、禅を修すと今の自分に気づきます。様々な欲を持っている自分に気づき、それを手放すこと。様々な誘惑に触れても、それに感化されず、真の愛を目指すこと。それが禅と経営の目指すべきものであると思います。
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