卓話 |
『虐待や家庭環境で孤立する子どもたちの現状』
子どもたちは自分が生まれ育つ環境を選べません。3keysは親や家庭の状況によらず、すべての子どもたちが社会から孤立することなく安心・安全に暮らしていけることを理念にしています。
3keysはどんな環境で生まれ育った子どもたちでも十分な社会保障が行き届く社会を目指しています。しかし、地域や親族とのつながりが希薄になり無縁社会となってきている中で、親の経済状況や社会とのつながりが子どもが得られる教育や愛情、社会的資源に直接左右されるようになりました。
十分な所得がなかったり、十分な教育や教養を身に着けられていない、または人とのつながりが希薄な親は、親自身が孤立しやすく、子どもたちに必要な社会資源を提供することは難しくなってしまいます。それに加えて、DV等による離婚や、養育費が十分に支払われない、親と絶縁状態である等、親自身の家庭環境によっては社会的・経済的孤立をさらに助長させることにもなります。
そして、子どもたちに愛情や教育はおろか、虐待(育児放棄も含む)をしてしまうケースも少なくありません。虐待相談件数は年間120,000件(図参照)を超え、1990年から約25年間でおよそ120倍となりました。さらには約45,000人の子どもたちが行政から保護され、親元ではなく、児童養護施設や里親といった「社会的養護」のもとで暮らしています。年間約100人の子どもたちが、虐待によって命をなくしており、内、半分は親も一緒に命を落としています。子どもたち、そしてその親たちが、孤立し、苦しんでいることがこの数字からも分かります。
3keysは子どもの社会保障や権利保障を行政か家庭だけに任せるのではなく、昔の地域に代わり、民間や市民主体で解決を担っていくために、子どもたちに関わる大人を増やすことを役割としています。
子どもを取り巻く現状を社会に伝え、親や行政以外のセーフティネットとして、子どもたちを見守り、導き、そし
て伸ばしていく大人たちを増やします。
3keysは以下の4つの活動を柱にChild Safety Netの充実化を目指しています
① 学習支援事業prêle(プレール)
貧困・格差下の子どもたちへの学習支援活動、児童福祉施設への学習ボランティア派遣、教室運営支援など
② 子どもの権利保障推進事業vine(ヴァイン)
子どもたちの、お金、恋人、学習、家族などにまつわる相談事業
啓発活動「伝える」
③ セミナーやイベントの開催、講演・執筆・メディアでの発信による啓発活動
④ 啓発活動「変える」
CSRの相談や寄付・イベントのマッチング、社内研修会・勉強会等への講師派遣等
児童養護施設では、日常の業務・支援に加え、学習支援ということを組み込むことはとても困難で労力を要します。まだまだ世間での児童養護施設に対する理解・認知は低く、現場では人手不足に頭を抱えることもしばしばです。体調が悪くても十分な休暇をとることが難しい職場です。そういうときに、3keysのような継続的に子どもたちに対する学習支援があると、役割分担できます。
また子供たちにとっては、学習によって将来の可能性が広がることを社会にでて気づくことも多々あります。例えば、学習を続け進学することによって自分の夢や就きたい職業、新たな世界、人間関係などが築ける、などです。何より自分の自信にも繋がるので、児童養護施設の子どもたちも学習を通して多くを学んでほしいと感じています。その為には、各施設の職員だけでなく、3keysのような団体の協力は不可欠であると思います。
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